海外で柔道を教えるという事(File003)

〜劣等感との戦いの日々!!でも挑戦する気持ちを持ち続けるのが最も大切!!〜

寒い日がまだ続きますが、皆さんお元気でお過ごしですか?
シカゴに渡って1年半、やっとアメリカ生活はじめ日々の道場指導に慣れてきた最近ですが、やはり現役時代と全く違う挑戦に対し『私は本当に進化してる?』と自問自答するこの頃です。今日は、海外で柔道を教える日々の葛藤と心境を、私の日常を交えて皆さんにお伝えしたいと思います。私同様海外で挑戦している駐在員・定住者の皆さん、そしてこれから海外で挑戦しようと燃えている皆さんに、少しでも参考と激励・後押しになれば幸いです。

(1)保守的と積極的の使い分け

まず1つ目は、この1年半実際にアメリカに住んでいて私自身が大切にしているのは、『保守的と積極的な部分の使い分け』です。
以前も書いたことがありますが、アメリカは自己責任の国です。
例えばUber(個人送迎サービス)に乗って襲われたとしても、「襲われた方じゃなくリスクを承知で乗った方が悪い」という考え方なのです。ですから常に自分自身、細心の注意を払う事が大切で「保守的になる勇気」が日々の生活で求められます。

もう一方で、日々の道場指導とクリニックなどでは、現地では私が指導するのが初心者であっても全て任されます。逆に何をやったらダメという事もありません。
日本のようにマニュアルや先輩の経験則はありません。要は、何でもありなんです!!その自由さが良い面、自分で全て準備し積極的に取り組まなければいけませんし、もし内容がイマイチなら「What are you saying?」と如実に子供たち・成人クラスの生徒から有形無形のダメ出しを頂きます。
そんな刺激的な日々に意味で慣れてきた分、常に『今日の私はマンネリになっていない?より前に進んでいるか?』と自問自答しながら、ダウンタウンの運転や0歳の息子を連れた外出時は保守的になりつつ、道場指導では大胆かつ積極的に、例えば子供を盛り上げるアクション・できない子をどうポジティブするかなど、日常の道場指導でもいつもと少し違った事に挑戦する事から一歩踏み出す勇気を持ち続けようと心がけています。

「いつもポジティブに!!」簡単なようでなかなか難しいですね~!!


私が通うシカゴの道場です!!
壁にはたくさんの国旗がありカラフル!!


子供達とのウォームアップ!!
『自らが楽しむ!!』私の大切にしている1つです。


マンネリ化しないよう、子供達が『今日も楽しかった!!』と思えるよう日々試行錯誤です!!


口だけでは伝わらない時は全身で!!!


組むのが1番!!
組めば、より深く指導してあげられます!!

(2)多様性(ダイバーシティ)を受け入れる!! 言うは易し、行うは・・・。

最近は日本でも多様性(ダイバーシティ)と言う言葉を良く耳にします。ただマスコミや政治家の皆さんの発言を聞いていても「こうしなければならない」的な、どこか他人事のような響きを感じるのは私だけでしょうか?
アメリカはご存じの通り多民族国家で人種・宗教も千差万別、多様性は当たり前で、社会が機能するために「ダイバーシティ」はリアルでマストなのを日々感じます。
道場でも20数か国にルーツを持つ約200名の方が日々鍛錬に励んでいます。

実は最近それを感じる事がありました。たまたま道場オーナのDoug他が休みで、私1人でクラスを主導しなければならない日(たまにあるのでドキドキです!!)、クラスが始まる時間にいきなり17歳の白人の少女がお母さんと一緒に来られ「ここで柔道を習いたい」との事。実はケーリンは盲目・・・、入会の仕方や会費はいくらにするかなど分からない私は一瞬パニックになりましたが、まずはこわごわ手を添えて練習に入ってもらいました。ただそんな心配はただの杞憂でした。ケーリンはこれまでキックボクシングやテコンドーもやった事があり柔道も初心者ではなく、目が見えない事など全く気にせず動き回り、かつ細かな事もどんどん質問してきて、とても積極的で超元気なケーリンにリードされた1.5hになりました。
日本でこのような光景は普通にあり得るでしょうか?ハンディキャップのある方も同じ環境で過ごし、そういう方を周りが共同で助け合うのが当たり前の文化、それが本当の「多様性を受け入れる」社会なんだと感じ、私自身勉強になった1日でした。
結局ケーリンは実力から、Woman’sクラスでなく一般クラスに編入する事になり、今は毎週皆と同じ条件で練習しています。こんなきっかけを与えてくれた彼女に感謝し、もっと英語で柔道の技を分かりやすく説明できるスキルを磨きたい!!と思う今日この頃です。「多様性」って実は自分を磨くツールなんですね~!!


ケーリンの理解力と凄さを肌で感じました!! You are really strong!!!


ウーマンズクラスのパワフルレディ達!!
(左から3人目がケーリン)

(3)そして最後は、「何事も楽しんで・・・、真っ直ぐに!!」

こちらに来た当初は、全てが初心者でインプットばかりの日々でしたが(もちろんこれからも・・・)、少しだけ経験値が蓄積された今、これを糧にもう一歩上の指導、もう一歩上のステージでの挑戦を目指したいと思っています。道場指導では今年は昨年より増やしていく全米柔道クリニックキャラバン、法人活動では今年のメイン活動になる「道場移転プロジェクト(3倍近くの広さの場所に新設し秋までに移転!!)」やGKJN Cupの拡大開催など大きな挑戦が待っています。

支援者やスポンサーの拡大、USでの生活・柔道普及・育児を両立させて将来どこまでやれるかなど心配事を挙げればキリがありませんが「不安は挑戦の証」の言葉を信じ、日々の小さな挑戦を積極的に楽しみながらチャレンジしていきます!!葛藤は自分を成長させてくれる糧、私自身が成長し、子供達はじめ沢山の方々にそれを還元できるよう、今日もポジティブに頑張ります!!!


我が愛すべきTohkon Kids!!共に成長しよう〜〜!!

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